【徹底比較】いちごの流通2種類の仕組み|「市場流通」と「産地直送」の違いとは?

仕組み

スーパーや通販サイトで手に取る真っ赤ないちご。
その一粒がどんな道をたどって私たちのもとへ届くか、意外と知られていないのではないでしょうか?

実はいちごは、果実の中でもとてもデリケート。温度や湿度、輸送時間など、ほんの少しの違いで味や鮮度が変わってしまいます。そのため、生産者から出荷、そしてお店に並ぶまでには、驚くほど綿密な流通の仕組みが作られているのです。

近年では「産地直送」で農家から直接届けられるいちごも増え、朝採れの完熟いちごを最短翌日に味わえる時代になりました。

一方で、全国の市場を経由して安定供給を実現する「市場流通」も、消費者に安全で高品質ないちごを届ける重要な仕組みです。

この記事では、そんないちごが食卓に届くまでの流れを、わかりやすく解説します。
農家・市場・小売店、それぞれがどんな工夫をしているのかを知ることで、今まで以上に「いちごのおいしさ」が深く感じられるはずです。

目次

いちごの流通の仕組みとは

いちごは、私たちの食卓に届くまでにいくつもの工程を経ています。
ここでは、生産から出荷、そして消費者の手元に届くまでの一般的な流通の流れをわかりやすく紹介します。

いちごが消費者のもとへ届くまでの流れ

いちごはとてもデリケートな果実で、収穫のタイミングや温度管理によって味や鮮度が大きく変わります。そのため、流通の仕組みには細かな工夫と段取りが欠かせません。

一般的には、次のような流れで消費者のもとへ届けられます。

まず、生産者(農家)が完熟を見極めながら早朝に収穫します。いちごは収穫後も呼吸を続けるため、すぐに低温で「予冷」され、鮮度を保った状態で出荷の準備が進められます。

次に、出荷団体や農協(JA)を通じて集荷場へ運ばれ、品種や大きさ、見た目によって等級分け(選果)されます。ここで箱詰め・ラベル貼りなどが行われ、各市場や小売店ごとに仕分けされます。

その後、地方卸売市場や中央卸売市場に運ばれます。市場では仲卸業者が競りに参加し、スーパーや果物専門店、青果店などの小売店へと商品を分配します。これが「市場流通」と呼ばれる仕組みです。

最後に、小売店で販売・陳列され、消費者のもとへ届きます。
この一連の過程は、収穫からわずか数日で行われることが多く、鮮度を保つための「冷蔵輸送」や「チルド便」など温度管理が非常に重要です。

一方で、近年はこの市場を通さず、農家から直接消費者へ届ける**「産地直送」**の流通も増えています。流通経路を短縮することで、より新鮮な状態のいちごを手に入れることができるのが特徴です。

いちごの流通は、見えないところで多くの人の手によって支えられており、
その丁寧な工程が“あの甘くてみずみずしいいちご”を実現しているのです。

流通が複雑になる理由

いちごの流通が複雑になる背景には、「鮮度の維持」「価格の安定」「安定供給」「物流コスト」の4つの要素が関係しています。
まず、いちごは非常に傷みやすく、温度や湿度の変化にも敏感な果物です。そのため、生産地から消費地までの間に、品質を保つための厳しい温度管理や梱包、輸送方法が求められます。これを確実に行うためには、生産者だけでなく、JA(農協)、市場、卸業者、小売店といった多くの中間業者が連携する必要があります。

また、需要の変動が大きいのも理由のひとつです。クリスマスやバレンタインなどのイベント時期には需要が急増し、価格も高騰します。こうした価格の乱高下を防ぎ、年間を通して安定した販売を行うためには、市場を通じて全国規模での調整が必要になります。

さらに、地域ごとの生産時期の偏りも影響します。例えば、冬場の需要期は西日本や関東の主力産地が供給を担いますが、通常のイチゴが減る夏場は、冷涼な気候を活かした北海道や東北地方の産地が重要な役割を果たします。

このように季節によって主要な供給地が大きく移動するため、全国の消費者に途切れることなく安定供給するためには、広域的な物流ネットワークが欠かせません。

参考:農畜産業振興機構(alic)- いちごの需給動向

一般的な市場流通ルート(卸売市場経由)

多くのいちごは、生産者からJAや出荷組合を経て卸売市場に集められ、小売店や量販店などを通じて消費者のもとへ届けられます。

生産者から市場へ出荷

いちご農家で収穫された果実は、まずJA(農協)や出荷組合に集められ、品質ごとに選別・パッキングされます。

いちごは非常にデリケートな果実のため、収穫後は速やかに低温で保管され、鮮度を保ったまま市場へ運ばれるよう厳重に管理されています。

JAや出荷組合は、生産者と市場をつなぐ重要な役割を担っています。

市場ごとに求められる規格や品質基準に合わせて荷づくりを行い、適正な価格で取引されるよう調整します。

また、出荷数量や時期を管理することで、いちごの供給が一時期に集中しすぎないようバランスをとり、価格の安定化にも貢献しています。

このように、JAや出荷組合を経由する流通体制は、多くの生産者が安定して販路を確保できる仕組みであり、同時に消費者に安全で新鮮ないちごを届けるための大切な役割を果たしています。

市場から小売店・スーパーへ

市場に集められたいちごは、まず「卸売業者」が販売を担当します。

卸売業者は全国の生産地から集まったいちごを取引し、仲卸業者や小売業者に販売します。

仲卸業者は、品種や品質、販売先のニーズに合わせて仕分け・選別を行い、スーパーや果物店、スイーツ店などへ届ける役割を担います。

いちごは鮮度が命の果物であるため、これらの工程はスピーディーに進められます。

収穫から消費者の手元に届くまで、わずか1〜2日で行われることも珍しくありません。また、市場を経由することで品質や価格の基準が明確になり、消費者が安心して購入できる体制が整っています。

このように、卸売業者・仲卸業者・小売店が連携することで、全国の消費者に安定した品質と価格のいちごを届けることが可能となっています。

一般的なルートのメリット・デメリット

いちごの市場流通(卸売市場を経由する仕組み)には、多くの生産者や小売店が関わることで、全国へ安定して商品を届けられる一方、鮮度やコスト面での課題もあります。

以下の表は、その代表的なメリットとデメリットをまとめたものです。

メリットデメリット
全国に安定供給できる消費者に届くまでに時間がかかる
品質基準が一定で安心して購入できる鮮度が落ちやすくなる
価格の安定・流通管理がしやすい中間コスト(流通・手数料)が増える

解説

市場流通の最大の強みは、全国規模での安定供給です。

天候不順や地域差があっても、複数の産地から出荷できるため、スーパーや量販店は一定量を確保できます。

また、卸売市場での検査・規格分けによって、品質基準が統一される点も大きなメリットです。

一方で、いちごは非常にデリケートな果実のため、流通過程が長いほど鮮度が落ちやすくなります。

さらに、仲卸業者や輸送コストなどの中間コストが加わるため、生産者の手取りや販売価格に影響することもあります。

このため、最近では「産地直送」や「オンライン直販」など、より短いルートを選ぶ動きも広がっています。

産地直送の仕組みとは?

産地直送とは、生産者が収穫した新鮮ないちごを市場を通さず、直接お客様へ届ける仕組みです。流通を短縮することで、鮮度と味わいをそのままお届けできます。

H3:収穫後すぐに発送される流れ

産地直送の流れは「生産者 → 直売サイト(または農園HP)→ 消費者」という非常にシンプルな仕組みです。いちごは収穫後、すぐに選別・パッキングされ、その日のうちに発送準備へと入ります。

市場を介さないため、保管や輸送にかかる時間が短く、採れたての香りや甘みを損なわずに届けることが可能です。

直売サイトや農園の公式ホームページでは、注文内容が生産者に直接届きます。

そのため、顧客ごとに最適な状態のいちごを選別・出荷できるのが大きな特徴です。また、冷蔵便(チルド)発送を利用することで、長距離でも品質を保ちながら配送できます。

こうした流れにより、「農園で食べるような新鮮さ」をそのまま自宅で楽しむことができるのが、産地直送の魅力です。

なぜ新鮮でおいしいのか?

産地直送のいちごがおいしい最大の理由は、「収穫から到着までの時間が短い」ことにあります。

市場流通では、出荷・保管・輸送に数日かかることもありますが、直送では収穫当日、または翌日に発送できるため、いちごの香りや甘みが損なわれにくいのです。

さらに、生産者が直接お客様に届けるため、「完熟のタイミング」で収穫できるのも大きなメリット。市場出荷では日持ちを優先して少し早めに収穫しますが、直送なら最も糖度がのった状態で摘み取ることができます。

その結果、より濃厚でフレッシュな味わいを楽しめます。

また、発送時には「冷蔵チルド便」を使用することで、温度変化による鮮度低下を防ぎます。

適切な温度で管理された状態で届くため、果肉の張りやツヤが保たれ、まるで農園で食べるような新鮮さを感じられます。

農家直送のメリットと注意点

農家直送のいちごは、市場を通さずに生産者から直接届くため、採れたての鮮度と香りが格別です。

完熟状態で収穫してすぐ発送されるため、果肉の張りや甘みがしっかり残り、「農園で食べるような味わい」を自宅で楽しめます。

また、生産者のこだわりや栽培方法が見えることで、安心して購入できる点も魅力です。

一方で、直送ならではの注意点もあります。

天候や気温によって収穫時期がずれることがあり、予定より発送が前後する場合があります。また、大量出荷が難しいため、数量限定や予約制になることも多く、人気農園では早めの注文が必要です。

メリット注意点
鮮度・味・香りが抜群天候で出荷日が変わる場合がある
生産者の顔が見える安心感数量限定・予約制になることが多い

このように、直送いちごは“鮮度重視・品質重視”の方にぴったりの購入方法です。

産地直送と市場流通の違いを比較

以下の表は産地直送と市場流通の違いを比較したものです。

比較項目市場流通産地直送
出荷経路JA・市場を経由して全国へ出荷生産者から直接、消費者へ発送
届くまでの時間約2〜4日(集荷・配送・店頭陳列を含む)最短翌日〜2日で到着(収穫後すぐ発送)
鮮度中程度(常温流通あり・時間経過による劣化)非常に高い(予冷・チルド便で鮮度保持)
主な特徴安定供給・大量出荷が可能少量でも高品質・季節限定で販売
向いている用途スーパー・量販店・業務用ギフト・家庭用・ネット販売に最適


市場流通はいちごを全国に安定的に届けられる反面、時間がかかり鮮度がやや落ちる傾向があります。
一方、産地直送はいちご本来の香りや甘さをそのまま楽しめる“採れたての贅沢さ”が魅力です。

当農園の「産地直送」へのこだわり

当農園では、採れたての新鮮ないちごを最短時間でお届けするために、収穫から出荷までのスピードと品質管理にこだわっています。

収穫当日の出荷体制

当園では、朝採れたいちごをその日のうちに出荷しています。

熟度を丁寧に見極め、完熟したいちごを一粒ずつ手摘み。収穫後すぐに梱包・発送することで、採れたての香り・甘み・みずみずしさをそのまま保ち、お客様のもとへ新鮮な状態でお届けしています。

予冷・チルド管理で鮮度をキープ

収穫後のいちごはすぐに約5℃で予冷し、果実の呼吸を抑えて鮮度を維持します。

その後もチルド便で一定温度を保ちながら発送することで、輸送中の傷みや劣化を防止し、採れたての香りや食感をできるだけ長くキープ。新鮮な状態でお客様のもとにお届けしています。

お客様に届くまでの“いちごの旅”を最短に

当園では、農家直送ならではのスピード出荷を徹底しています。

収穫から梱包・発送までをすべて自園で行い、中間業者を通さずに最短ルートでお客様へお届け。市場経由のような時間的ロスがないため、収穫翌日には“採れたての味わい”をそのままお楽しみいただけます。

まとめ|流通の違いを知ると、いちごの味がもっと楽しくなる

いちごの流通には、「市場流通」と「産地直送」の2つの仕組みがあります。
市場流通はいちごを全国へ安定的に届けるための仕組みで、スーパーなどで手軽に購入できるのが魅力です。
一方、産地直送はいちご農家から採れたてを直接届ける方法で、鮮度・香り・甘さのバランスが格別です。
どちらにも良さがありますが、完熟のいちご本来の味を楽しみたい方には「農家直送」がおすすめ。
流通の違いを知ることで、いちご選びがもっと楽しく、美味しさをより深く味わえます。

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